株式会社渡久山設計

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感染治療の歴史と建築

疫病の歴史を通じて進化してきた住宅、建物、都市の整備について、興味がある方は読んでみてください。
houzzの記事、面白かったですよ。

1800年代、コレラによるパンデミックでは配管や下水の整備や過密状態を防ぐゾーニング規制が叫ばれ技術は進化してきました。1900年代に流行した結核や肺炎は、今回の新型コロナと似て当時も患者を「隔離」することが予防の鍵に。医師が結核患者に施したのは十分な休息と健康的な食事、日光と新鮮な空気にあたることだったそう。

そうして、1885年にアメリカで初めて結核患者のための「サナトリウム」が建設され、患者たちは開放的な施設環境の中で健康を取り戻していったようです。

【 病院の美学・人間中心のデザイン 】

当初のサナトリウムは、山岳地帯のコテージでした。結核患者のための治療に適したサナトリウム建築は、病気の感染を防ぐための専用の建物としてその後の設計に大きな影響を与え、ル・コルビジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、アルヴァ・アアルトが牽引した「モダニズム建築」に反映されたそうです。モダニウム建築のすっきりとしたライン、白い仕上げ面、広いガラス面、屋内外をつなぐリビングルームは「病院の美学であり人間中心のデザインである」とも言われたよう。

明るく風通しの良い、開放的で衛生的なつくりつくり、家具も足を長くして掃除をしやすくするなど、この頃から進化が見られたようです。

【 衛生面から生まれた近代建築5原則 】

感染予防と清潔さにこだわったル・コルビジェの代表作「サヴォア邸」には、玄関の横に手洗い用の流しがあり、健康に不可欠な光と空気を暮らしにもたらす屋上庭園があります。それは近代建築の5原則として提案されました。

「近代建築の5原則」

1.地上から建物を持ち上げるピロティ(柱)
2.自由な平面構成
3.構造の制約から生まれた自由なファサード
4.一様な光と景色のための水平連続窓
5.家族のための屋上庭園

沖縄ではおなじみの様式ですよね。

県内の建築設計者の多くがデザイン面で影響を受けてきたこうした様式は、疫病治療、感染予防のつくりと大きくリンクしています。住まいやオフィス、病院などの施設建築において、自然の光と風の通る設計がいかに大切かを改めて感じた記事となりました。ぜひ、参考にしてみてください。みなさんの健康を願って、投稿します。

2020年5月13日