11月27日に提出〆切だった「第8回アンダー40設計競技 ティーダフラッグス2019 in 中城公園 自然共生エリア」。今年は建築・企画部の平良和礼さんが参戦。 沖縄県が主催するこの公募がはじまると、県内各地で40歳以下の若き建築士たちが、多忙を極める仕事の合間も、寝る間も惜しんでアイデアを噴出し「沖縄らしくも新しい」建築技術の表現に挑みます。▼今回の計画地は楽し気な遊具のある中城公園内・南遊具広場。テーマは「心弾む、遊具広場のトイレ」でした。
この設計競技をきっかけに、コンセプトづくりのため日本の公園トイレ事情を調べると、国内でわんさかユニークな取り組みが始まっており驚きでした。ここでの記事は平良さんのプランとは全く関係ありませんが、こんなトイレあったらいいな…も含め番外編として、トイレにまつわる話題をご紹介。お時間のあるときに、ぜひご一読ください。(平良さんプランは結果発表後に公開予定です!)
空前の「うんちドリル」ブームに見るように、子どもたちにとって「うんちは分身」(ある有名な心理学者の言葉)だからこそ、かわいくて愛しいキャラとして存在することを思うと、トイレだってもっとかわいいものであっていいのではないかと、勝手にデザインした「トイレBOX3兄弟」(上は長男のHealthくん)。即、ボツになり悔しいのでこちらで公開したわけではなく、日本における「トイレ大革命」は今や「MAXかわいい」分野にあり「世界平和に通じる」ものであることを再発見し、感動から生まれたものであることを付け添えます。東京、横浜の「うんこミュージアム」に、今や日本のトイレは日本の成長戦略の一つであり、世界に誇れる文化の一つになっていることを実感せずにいられません。
「うんこミュージアム公式」:https://unkomuseum.com/tokyo/
2015年5月、内閣府「暮らしの質向上検討会」の下提言された「ジャパン・トイレ・チャレンジ」の施策では、トイレの改善をきっかけに、その先にある健康づくり、都市づくり、地域創生、国際平和などにつなげていくことを目標とし、トイレは生活そのものであり、それぞれの暮らしや社会が抱える課題が凝縮しているからこそ、国を挙げての大変革プロジェクトとして各地で急ピッチで整備をしようという動きにある。そこで、単なる公衆・公園トイレではなく、今まさに最新の技術や知識が投入される先進的なトイレを体験・学習できる「ミュージアム」的な要素を含む空間として、防犯・安全面も綿密に検討したトイレ機能のデザイン化を試みたわけです。(上:次男Waterくん。下:三男Natureくん)
内閣府ジャパン・トイレチャレンジ:http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kurashinoshitsu/pdf/jireishu_all.pdf
国が提言するトイレ考では、「排泄」は人間の尊厳にもかかわる行為であり、個々人の暮らしの質に強く影響を与える重大事であると位置づけている。トイレ整備の重要事項として向上すべき3点に、1.安全性、2.清潔性、3.快適性を上げ、それに加え新たに、令和の時代に必要な事項として、4.外交(観光)、5.地域の成長戦略、6.防災、7.地方創生(交流人口の増加)を意識したものを、との考えが提唱された。
日本トイレ研究所による2020年アンケートでは、トイレの困り事として挙げられた2020件の声の中から、3つの明確な課題を抽出している。
1.清潔の保持:汚れにくい、掃除しやすい、きれいに使いたくなる空間的配慮(これは世界の衛生問題の解決につながるとしている)
2.日本のトイレの二極化:商業施設のトイレは「スイッチルーム」という豪華さに改善される一方で、収入を生まない公衆(公園)トイレは、改善が思うように進まない現状の打開策が必要。
3.トイレの困り事の多様化:高齢者、乳幼児の保護者、妊産婦、異性の介助者、視覚障碍者、肢体不自由者、車イス利用者、内部障がい者、外国人、トランスジェンダーなど、困り事はそれぞれ異なる。/TOILET NIPPONサイト参考
トイレの未来へ向けて―――日本のトイレはさらなる進化を遂げようとしている。この動きを加速させ、成長戦略のテーマとして確固たるものにするには、新技術開発への挑戦が不可欠であるとされる。
1. 医療業界との連携によるトイレの健康ビッグデータプロジェクト
2. 大小便を家庭レベルで瞬時に資源化するバイオプロジェクト
3. ほかの惑星での使用を想定した宇宙プロジェクト
などなど。いずれも壮大だが実現不可能ではなく、これらプロジェクトに取り組むことで水洗トイレを超えた技術が生まれることに期待が寄せられている。トイレの枠を超えて、様々な分野・業界と交流しながら、次世代の社会づくりに貢献する発想が大事なのかもしれない。